演歌とは
演歌とは、日本の大衆歌謡のうち、日本人独特の感覚や情念もとづく娯楽的な歌曲の分類である。演歌歌手独自の歌唱法や歌詞により、同じ音韻の艶歌・怨歌の字を当てることもある。
演歌の特徴
演歌が用いる音階の多くは日本古来の民謡等で歌われてきた五音階が用いられる事が多い。西洋音楽の七音階を五音階にするために、第四音と第七音をはずし、第七音を第五音にすることから四と七を抜くヨナ抜き音階と呼ばれる音階法を採ることが多い。
演歌の歌唱法の特徴としては、小節(こぶし)と呼ばれる独特の歌唱法が多用される。演歌歌手(特に女性)は、日本的なイメージを大切にするため、歌唱時に和服を着用する事が多い。また、歌詞は「海・酒・涙・女・雨・雪・別れ」などがよく取り上げられ、これらのフレーズを中心に男女間の切ない愛や、悲恋などを歌ったものが多い。
美空ひばりの「悲しい酒」、都はるみの「大阪しぐれ」、大川栄策の「さざんかの宿」、吉幾三の「雪国」などがある。また男女間の情愛に特化されたジャンルで、演歌よりも都会的なムード歌謡というものがある。とはいえ上記の特徴をもってしても、演歌とそれ以外のジャンル(歌謡曲など)を明確に分類する事は難しい。ジャズピアニストの山下洋輔は演歌や歌謡曲の全盛だった1970年代に「演歌もアイドル歌謡も同じにしか聞こえない」と述べていたといわれる。(演歌や歌謡曲をけなしているのではなく、音楽理論的に両者を分類する事が出来ないと言う意味)。
演歌の歴史
もともと演歌は、自由民権運動の産物だった。藩閥政治への批判を歌に託した政治主張・宣伝の手段である。つまり政治を封刺する歌で、演説に対する取締りが厳しくなった19世紀末に、演説の変わりに歌を歌うようになったのがこの名称の始まりと言われる。これ以前にも政治を封刺する歌はあったが、これ以後、演歌という名称が定着する。しかし時代を経るにつれ、政治的な内容を含む歌を刺して演歌と呼ぶ事はなくなりました。
明治後半から心情を主題にした社会封刺的な歌が演歌師によって、歌われるようになった。大正になると演歌師の中から洋楽の手法を使って、作曲するものも現れた。昭和に入ると外資系レコード会社が日本に製造会社をつくり、電気吹き込みという新録音システムも導入され新しい時代を迎えた。戦後に入り、昭和30年代になると望郷歌謡の春日八郎、三橋美智也、泣き節の島倉千代子が登場した。
昭和30年代後半になると、北島三郎、都はるみ、40年代には水前寺清子、森進一、五木ひろしなどが登場し、個性豊かな時代を迎え、洋楽思考の歌謡曲と人気を二分した。この頃になると、それまで先般的に流行歌や歌謡曲と呼ばれていた大衆歌謡音楽のうち、ヨナ抜き音階や小節を用いたものが、演歌と呼ばれるようになった。しかし演歌と歌謡曲の間に明確な分岐ラインが存在するわけでもなく、むしろ歌手(レコード会社)などが、「自分は演歌歌手」し称するかどうかが、わかれめと見る向きもある。
1960年代後半になると、政治批判的な歌はフォークソングの形態を取ることが多くなり、演歌は男女間の情念等を取り上げた曲が多くなった。またフォークソングやグループサウンズ等、洋楽の影響を強く受けた音楽の台頭によって一時やや下火になったが、昭和50年代に、カラオケブームが起こった事や、歌唱力の乏しいアイドルが多くなった反動などで、実力派の演歌歌手が台頭し、多数のヒット曲が生まれた。
1980年代半ば以降、若者と中高年の聞く歌のジャンルが一致しない傾向が強まっていった。テレビの歌番組も中高年向けと若者向けとが別々になり、誰もが知っている流行歌が生まれにくい時代となった。
演歌が中高年のみの支持に限定されてきたことや、素人がカラオケで歌いやすい事が尊ばれ森進一などのようないい意味で癖のある歌手が実力を発揮しにくくなったことなどから、緩やかな保守化と衰退が始まった。
平成に入ると衰退がさらに目立ち、1990年代末には演歌の新曲CDが数十万枚単位でヒットする例は皆無になってしまったと言われる。しかし2000年に大泉逸郎の「孫」や氷川きよしの「箱根八里の半次郎」が大ヒットしてからは、復活の傾向を見せており、一時期一人または二〜三人だった大型新人演歌歌手のデビューも毎年4〜5人まで増えてきている。逆にランキング上位を占めていたJ−POP全体の売り上げが低くなるにつれ、相対的にランキングでも上位に顔を出す事が多くなっている。
主な演歌のオリコンチャート1位獲得作品(週間)

星影のワルツ/千昌夫(1968/6/3日付〜7/1日付、8/17付の6週)

港町ブルース/森進一(1969/6/9日付〜7/7日付の5週)

池袋の夜/青江三奈(1969/9/8日付〜10/13日付の6週)

女のブルース/藤圭子(1970/3/30日付〜5/18日付の8週)

圭子の夢は夜ひらく/藤圭子(1970/5/25日付〜7/27日付の10週)

京都の恋/渚ゆう子/(1970/11/9日付〜12/28日付の8週)

望郷/森進一(1971/1/25日付〜2/8日付の3週)

横浜たそがれ/五木ひろし(1971/7/19日付の1週)

わたしの城下町/小柳ルミ子(1971/7/26日付〜10/11日付の12週)

瀬戸の花嫁/小柳ルミ子(1972/5/15日付〜6/5日付の4週)

女のみち/宮史郎とぴんからトリオ(1972/10/30日付〜1973/2/12日付の16週)

なみだの操/殿さまキングス(1974/3/18日付〜5/13日付の9週)

夫婦鏡/殿さまキングス(1974/7/15日付〜8/5日付の4週)

冬の駅/小柳ルミ子(1974/11/18日付〜12/9日付の2週)

あなたにあげる/西川峰子(1974/12/16日付の1週)

昭和枯れすすき/さくらと一郎(1975/4/28日付〜5/12日付の3週)

心のこり/細川たかし(1975/7/28日付〜8/18日付の4週)

北の宿から/都はるみ(1976/12/20日付〜1977/1/10日付の4週)

おもいで酒/小林幸子(1979/7/23日付の1週)

矢切の渡し/細川たかし(1983/4/18日付〜5/2日付の3週)

あじさい橋/城之内早苗(1986/6/23日付の1週、史上初の演歌初登場1位曲)

雪国/吉幾三(1987/2/9日付の1週)
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